第8期会長 佐藤寛 アジア経済研究所
先日の第22回全国大会総会において、第8期会長に選任されました佐藤寛です。
これから三年間の今期執行部の活動方針を簡単に申し述べ、就任挨拶とさせて頂きたいと思います。本学会の最大の特徴は「実務と研究を架橋する」ことにあり、この基本を踏まえた上で三つのことを今期の柱として掲げていきたいと思います。
第一は「研究水準の向上」です。本学会は会員数1800人を超え、全国大会の参加者は500人近く、報告セッションも40を超えています。この盛況は喜ばしいことですが、報告内容が学会として満足すべき水準に達していないものも見受けられます。また、学会誌への投稿論文も必ずしも多くありません。「悪貨は良貨を駆逐する」ということわざもあるとおり、こうした状況を放置すれば長期的には学界全体の研究水準の低下に結びつきかねません。これからの三年間は、会員増よりも研究水準の向上に注力し、研究部会の活性化、春季大会・全国大会の内容充実(ポスターセッションの活性化含む)、その他セミナー等の開催・共催を活用してきたいと思います。ただし研究水準の向上がアカデミアの偏重につながり、実務者の参加意欲をそぐことのないように配慮しなければならないと思います。
第二は「戦略的情報発信」です。これまでも豊田元会長のイニシアチブによる英文書の刊行、西川会長時代に英文ホームページの開設などを行ってきました。このような英文による日本の開発研究成果の発信(西向き発信)とともに、近年国際開発分野で存在感を増している韓国、中国などの研究者と共同での欧米に対する発信(東回り発信)、南南協力・三角協力などの成果を踏まえた途上国と共同の発信(南回り発信)にも力を入れていきたいと思います。
第三は「学会ガバナンスの改善と会員サービスの向上」です。1800人に肥大化した会員の管理は容易なことではありません。特に本学会は海外に赴任する方も多く、物理的住所やメールアドレスが頻繁に変わりますが、その更新は必ずしも円滑でないため、学会誌やニューズレターを郵送しても200通以上が宛先不明で戻ってくる状態です。これは郵送費の無駄であるばかりでなく、会員に適切に情報が共有できないという問題でもあります。前期執行部からニューズレターの電子化を開始し、大幅な経費削減が可能になった一方、メールアドレスの不明な会員にどのように情報を伝えるかを考えなければなりません。さらに、三年に一回の理事選挙の投票率は17%にすぎません。これでは民主的な会務運営に必要な代表性を確保できているのかいささか疑問です。次回選挙(2014年)では、投票率向上のための電子投票の可能性も検討したいと思っています。
本学会の礎を築いた大来佐武郎初代会長、その後の発展を担った廣野良吉(第二期、第三期会長)、山下彰一(第四期)、絵所秀紀(第五期)、豊田利久(第六期)、西川潤(第七期)の諸先生方に比べると人格、経歴ともにはるかに劣る身ではありますが、本学会に対する思いだけは負けないつもりです。皆様のお力添えを得て三年間の任期を乗り切っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 (2011年12月20日)